『騎手の一分』の真実

では『騎手の一分』をレビューしていきます。
数年前までトップジョッキーだった藤田騎手の著書。
あまりにも有名ですね。
騎手という職業の人間が、どんなことを考えているのか?
これを包み隠さず暴露してくれています。
もちろん、藤田騎手の気持ちだけですが、
とても興味深く面白い。
例えば、上手い騎手のインなら、安心して突っ込めるが、
下手な騎手の場合は、コワくて突っ込めない話や、
スーパー未勝利戦は、後が無いので緊張する話など。
馬券を購入している側からすると、遠い存在の騎手だが、
やはり騎手も人間だということが分かり、とても身近に感じることができる。
あとは、現在のエージェント制についてや、
若手が面倒を見てきた馬を、アッサリ外国人騎手への乗り替わらせる、
現在の騎手を取り巻く環境に警告を発した内容となっている。
あとは、社台グループの独占状態に対してもかな。
ただこれらは、エージェントや社台グループが悪いのではなく、
現在の仕組みを作ったJRAが悪いと藤田騎手は言っている。
しかし、小原軍団の岩田、川田、福永騎手への不満が多く書かれているので、
本音はまた別のところにあると邪推してしまいますね。
それはそれで面白いんですが。
この競馬本を読んだからといって、馬券力がアップすることがないが、
競馬の基礎知識がアップすることが間違いないので、オススメする。
ただ残念なのは、藤田騎手の競馬界に対するモチベーションがかなり低いこと。
「休養が必要な怪我をしたら、即引退する。」
「調教師にも馬主にもならない。」
などのネガティブな発言が多く、そこがとても残念。
序章の14ページで、
「1000勝で調教師の一次試験がパスされる制度があったころ、
俺は1000勝した時点でさっさと引退して調教師になりたいって思っていた。
まずは、これまでさんざんお世話になってきた馬主さんたちの馬で揃える
そして、騎乗馬に恵まれずなかなか勝てないけど、技術的に上手い騎手、
たとえばヒデ(武英智元騎手)のうようなヤツを乗せて育てたい、
とういう夢を持っていた」
「だから早く1000勝したいと思っていたけど、
1000勝をする直前、その制度は廃止されてしまった」
「精度廃止で一気にモチベーションが下がった。」
「俺は勉強ができないから、
大卒の人間と一緒に調教師の試験を受けても合格するとは思えない。」
このようなことが書かれている。
でもあの一世を風靡した森調教師だって、5回目の挑戦で合格。
現在リーディング上位で大活躍の矢作調教師に至っては14回目で合格。
だから頭が良いとか悪いとかではなく、
若手騎手のために、頑張って挑戦して欲しい、と個人的に思う。
熱いことで有名な藤田騎手だからこそ、
これからも、もっと熱くなって競馬界に貢献して欲しいと願う。
投稿者プロフィール

- (日刊スポーツ公認のコンピ指数研究家)
- かつてはダイニングバーの経営者だったが、現在は競馬研究ひと筋。「競馬最強の法則」の馬券ブラックジャーナルコーナーにおいて、2009年に逃げ穴馬馬券術を紹介。2010年には同誌にて「コンピアナライズを追え」で巻頭でデビューを果たし、2012年にKKベストセラーズより「新コンピアナライズ・ゾーンレベル」を出版。現在は日刊スポーツ公認のコンピ指数研究家として日刊公式ウェブサイト「極ウマ・プレミアム」にてコラム、テクニカル6を連載中。また重賞特集号として日刊スポーツが発行しているタブロイド紙のコンピ予想も担当している。
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